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最低賃金議論が起こっているが
最低賃金議論に労使で隔たりがある。労働者と使用者は一般的には利益が相反するため、むしろ同じ方向に進むことは少ない。つまり、隔たりは当然であり、問題はタイミングとその要求額である。よく外国との比較が持ち出される。当然議論にはなっているとは思うが、上位国との労働生産性比較も大事である。企業のデジタル改革の格差等による生産性には開きがある。中小零細企業では特に大きい。倒産が大幅増加する現在、約100円の時給高額アップは労働者を救うどころか、かえって企業を追い込み、非正規雇用の雇止めから労働基準法による労働時間が適用外の個人事業主などが増加し、時給の半分以下の労働も起こりえる。貧困者対策とはいえ企業あっての雇用であり、今はまだ雇用維持を主流にすべきであると多くの人が考えるだろう。この時期に話題になるのがどうも怪しく感じてしまう。また珍しく政府と野党が結果的に同じ方向を向いていることから選挙対策などのパフォーマンスであろう。仮に実現すれば、多くの企業からの大反対が起きるほどのテーマであり、今はタイミングとしては適切ではないとだれもが感じるだろう
同一労働同一賃金に幻想を抱かないほうが良い
同一労働同一賃金、別名パートタイム・有期雇用労働法は大企業ではすでに適用されているが、中小企業でも4月から適用される。同一労働同一賃金は同じ環境で仕事を行う正社員と非正規社員の間での待遇や賃金の差をなくすことを目指している。非正規社員の範囲は、パートタイム・アルバイト・契約社員・定年再雇用者が該当し、派遣社員やフリーランス、個人事業主、業務委託は別ルールが存在あるいは未整備となっている。しかしながら、コロナ渦で大量失業時代においては未整備分野も検討されていくだろう。話は戻すが、そもそも正社員と非正規社員が全く同じ環境や条件で行えない。会社の一員としての責任、条件が同一にならない限り、完全適用は難しい。サービス業において非正規社員の正社員化が一時とりだたされたが、非正規社員のまま社員と同じ待遇とは労働者側に有利で虫が良すぎる。総合職正社員と同じ条件となれば、転勤や異動を受け入れ、売上目標を達成し、急な残業を受け入れるなど、会社の業務命令に対して遂行努力が生じる。業務内容だけでは判断しないため、正社員と同一は難しい。現実的な可能性としては、労働者という意味での平等の権利がイメージできる「住宅手当」「家族手当」「通勤手当」など福利厚生に近い部分の運用は期待がもてるかもしれないが、基本給や賞与においては責任が軽減される非正規社員の立場を維持したまま、正社員と同一程度の賃金は期待が薄い