最新の投稿
テレワークを基本にする会社が話題に
大手通信会社がテレワークを基本にする働き方を打ち出した。出勤は出張扱いとなる働き方改革を始め、極論すれば国内どこに自宅があってもよく飛行機通勤もありとなる。順次グループ会社に拡大する。これまでにテレワーク中心としたワークスタイルはIT企業でも先行した実例はあったが、明確に発信した例はあまり記憶になく、大手企業が始めたことがインパクトがあった。以後追随するところは増える一方、特にコミュニケーション不足から出勤スタイルに回帰する企業も戻るなど、テレワークの位置付けはますます格差が出てこよう。出勤を推進した理由に『気軽に質問できない』『部下の管理が不安』などがあがるが、まだまだ属人的な業務が多く、改革ができていないことを表しているものとみている。働き方改革にはまだまだ課題が山積している
社員も安泰ではない
今年21年4月に300人以上常勤社員の大企業に『中途採用者比率の公表義務化』がすでに実施されている。これにより、中途採用に対する積極性が明らかになっていく。経済界のトップがジョブ型雇用に移行していく類いの発言もあったように、日本式のメンバーシップ型雇用の終焉を意味する。一括採用、一括教育で大企業は人材育成を実施してきたが、これからは即戦力になる新人や中途採用を行い、育成に対するコスト配分にメリハリをつける。外資系企業への流入を意識し、能力に投資をし、優秀な新入社員にいきなり年棒1000万円も。しかしながら、従来の新入社員は単なる未経験者として扱われ、優秀なパートより時給で劣ることもあり得る。会社が育てる時代から、個人の自主性でスキルアップの申告を会社にする時代になってこよう。人と同じ能力では価値を下げAIやパートに代替され、人とは異なる能力で会社に貢献していく。これはなにも新人に限らず、ベテラン社員も同様で役職や年齢に期待されるパフォーマンスがシビアに見られ、人材の削減や流動化は大企業から進行すると予測する。中小企業においては優秀人材の引き抜きも視野にいれていかねばならない。いよいよサラリーマンも気楽な稼業ではなくなっていく
成果連動型から固定給型に回帰する一部の動き
11月投稿の『暴走社員に注意せよ』で、トップセールスマンの組織管理の甘さをお伝えしましたが、大手保険会社がトップセールスマン放任による多額の不正行為を受けて、過度にシフトした業績割合をかなり減らし、固定給部分を増加させることになった。顧客への誠実さなど、従来の営業が大事にしてきた部分が改めて重要性を増した。トップセールスマンのモラルに注視し、良い営業成績や結果も社会倫理の上に成り立つことを表現した。企業の社会的責任が厳しく問われていく社会になり、上司の一般感覚は重要になっていく。前回投稿同様、社員による重大な犯罪を与えられた会社は、社員のリスクマネジメントが強化され、新たに組織改革が進行し、専門部署を設けたり、経営課題の重要事項として格上げされたりする。以前から指摘する極端な拝金主義や売上《結果》至上主義による弊害に警告が与えられている。売上目標は当然だが、ルールを逸脱したり、組織が特定者に優遇を与えるような行為による実績をあたかも個人の実力と評価することに問題があった。つまり、社内における不平等競争により公平な評価がなされていないことも一部には存在したのだ。犯罪を実施する当人は当然だが、上司も黙認した組織関与が日常的に実施されているケースは存在する。SNS社会では監視の目が社内でも存在し、隠蔽が露呈されることがある時代に変貌していることも認識すべきであろう。実績だけでなく、倫理観やリスクを負ってでも勇気を持って提案する度胸なども次世代管理者には必要な能力となる。トップテニスプレイヤーが誰もできなかった長年の主催者に対する常識を指摘したのは衝撃を与えたが、ビジネスにおいても根深い問題は山積する。いまや慢性化しているが、人為的な不祥事が多発するのは権限委譲された現場指導による管理者の責任も大きい。多額の費用をかけて多くのステップを踏んで選んだ人材をノルマ達成目的とはいえ労力のかかる指導を徹底的に行うより簡単に配置転換を認め、退職する流れは意外と多い。去るものは追わずでは会社への忠誠心は生まれるはずはなく、失敗を次への教育にいかせず、自主的に勇気を持っての提案は生まれない。同一労働同一賃金のなか、これからの正社員の役割を見直す時期がきている。従来の指示待ち正社員では生産性向上に逆行し、徐々に少なくなっていくだろう
正社員の個人事業主化は度を越えれば危険性をはらんでいる
有名企業で正社員の業務委託化が報じられ衝撃が走る。以前から、個人事業主として元社員を繋ぎ止める会社はあった。労働基準法回避はもとより社会保険の負担や退職金削減、社員給与では適用外だが、外注報酬になることで消費税節税になる可能性があるなど企業側のメリットがある一方で、解雇をせず、減額されるも、契約は個人事業主としてだが更新され、再就職がないシニア社員にとっては一概に悪い制度とは言えないものだった。しかし、今回は40歳以上が対象になり、偽装リストラと疑問を呼んでいる。厚労省も内容について検討を始めた。追随するところが増加すれば、雇用調整助成金延長など、雇用の維持対策が意味をなさなくなり、企業が雇用を放棄していく流れに入る。さらに、正当な理由なく解雇できない労働基準法の規制がなくなり、長時間労働が増え、労働環境悪化が不可避となる。数年間の現役報酬プラスインセンティブがあり、いつ仕事をしても自由で管理もされないバラ色のように見える一方、成果に対する基準もあいまいで、やり直しなどもまかり通ることになる。最悪、長時間労働、年中無休もあり得ることになり、以前は労働災害認定されていたのが、対象から外れ、過労死が促進される世界になる。一部の企業の利益確保手段はハードになって来ており、このままだと日本の減少する労働者はさらに疲弊していく。今後の働き方にも大きな影響を与えることになる。行政にはぜひとも頑張って解決策を探ってもらいたいと願うばかりである
ジョブ型雇用への変更はうまくいくのか
終身雇用前提のメンバーシップ型雇用では、人に仕事を割り当てるというゼネラリスト育成の考え方がある。例えば店頭販売部門に配属されたメンバーが評価を理由に外回り外商部門に配置転換があり、違う仕事につく場合。来店客の契約クロージングに慣れていた人を新規客のテレアポから見積り、値段交渉、クレーム対応の他、営業ノルマなど個人の負担が増えて戸惑うことになる。新しい部署で十分な教育指導が行われないと、これはもはや戦力になるための配置転換ではなく、別の目的と思わざるを得ない。会社サイドも特別な理由なく解雇できない事情があり、労働者保護のための法律の抜け道グレーゾーンであるため、パワハラが起こっても不思議はない。このような状況下で、さらに個人成果を厳しく評価するジョブ型雇用への転換が中小企業で本当にスムーズにいくのだろうか。労働人口減少、人手不足が進行する日本では何かしらアレンジが必要となろう